アドバンスケア・プランニング(ACP)とは、末期がん患者や高齢者などがいずれ意思決定が難しくなる場合に備え、家族や医師らを交えて何度も話し合い、今後の治療の内容や受ける場所などを決めることをいいます。欧米では1990年代から普及している一方、日本での導入は一部の医療機関にとどまっています。厚生労働省の調査によれば、日本の医師の66%はACPを実施していません。
終末期医療の指針では、患者本人の意思決定を基本に、医療行為の不開始や中止は医療・ケアチームが慎重に判断すべきとしています。現行の指針は病院での活用を想定しています。今後、高齢者の増加で多死社会を迎えることを見据え、病院だけではなく、自宅や介護施設にも対象を拡大するためには指針の改定が必要となります。ケアマネジャーなどを含めた医療チームが、患者本人の治療に対する考え方の違いを尊重することが必要です。ACPの推進などを盛り込んだ終末期の治療指針を改定することは大切です。
(2018年2月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)