高齢者のための住まいには、二つに大別されます。介護の必要性が高い人の代表的なのが、特別養護老人ホーム(特養)です。社会福祉法人などが運営し、全国に約7,700か所あり、定員は約53万人分です。特養には、介護職員や看護師がいて、入浴や排せつなどの介助、身の回りの世話を24時間態勢で行っています。利用料は比較的安く、介護の必要度が一番高い要介護5の人が個室に入った場合、食費や部屋代を入れて月14万円程度です。亡くなるまで暮らせるので安心ですが、入居できるのは原則、要介護3以上の人です。現在約36万人が入居を待っています。その他、老人保健施設は、病院から退院した人などがリハビリをして自宅に帰るための施設です。また、介護療養型医療施設は、管で胃に栄養を入れる胃ろうや、酸素吸入など、医療が必要な人が入ります。
もう一つが、元気なうちから入る有料老人ホームです。特養と違い、介護の必要度にかかわらず入居できます。介護付きと住宅型があり、介護付きは特養のようにホームが介護サービスを提供します。住宅型は、利用者が外部の事業者と契約して介護サービスを受けることになります。サービス付き高齢者住宅は、高齢者の賃貸住宅です。日中にスタッフが滞在して生活相談などを行います。有料老人ホームは特養に比べて利用料が高めで、入居する際に一時金が必要になることもあります。病状や介護度が上がった場合、住み続けるのが難しくなることもあります。
(2018年2月25日 読売新聞)
(吉村 やすのり)