がんゲノム医療の開始

がんゲノム医療は、患者のがん組織や血液中の細胞から遺伝子の情報が記録されているDNAを抽出し、がんに関連する遺伝子を網羅的に検査し、その遺伝子に異常があるか見つけ、その結果をもとにどの治療薬が最適かの選択など治療方針を決めることをいいます。検査を受けてから方針決定まで3週間ほどかかります。このがんゲノム医療が4月より全国で始まります。
厚生労働省はがんゲノム医療中核拠点を整備しています。中核拠点には遺伝子検査の実施体制や、遺伝性のがんについて患者や家族に説明するカウンセリングが整っていること、臨床試験の実施体制を備え実績があることなど8つの要件が課せられています。国立がん研究センター中央病院など11施設が選ばれています。遺伝子検査を受ける際、保険が使えないため、70万円前後かかります。
もう一つの課題は、高額な検査をしてもより良い治療薬の選択につながるケースが多くないことです。遺伝子異常が見つかっても治療に使える薬がなかったり、治療薬があっても患者の容体が悪くなり使えない場合があります。今後、国立がん研究センターなどが中心となってがん遺伝子検査で新たな異常を見つけ、製薬会社が薬の開発を進めることも期待されています。

 

(2018年3月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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