2050年には、おばあさんの時代がやってきます。現在、65歳以上の高齢所女性は、全人口の15%程度です。しかし、2050年には21%を占めることになります。つまり5人に1人がおばあさんになってしまいます。女性の活躍推進の掛け声とともに、15~64歳の女性の就業率は過去最高を記録しています。子育て世代の離職率を表すM字カーブも解消されつつあります。
しかし、女性の未来は明るいとは言えません。男女の賃金格差は縮まってきてはいますが、男性の73.4%に過ぎず、先進国では最低レベルです。この男女格差を引きずったまま、高齢期を迎える女性が多くなるとみられます。また男女ともに平均寿命は延びていますが、男性と比べてここ数年女性の健康寿命は延長していません。女性の寝たきりの期間は、男性より3.51年も長くなっています。健康寿命をいかに平均寿命に近づけるかが今後の課題です。蓄えを増やし、長寿を真にめでたい寿とするために、おばあさんがもっと生き生きと働ける社会を作る必要があります。おばあさんが、継続的な社会活動ができるような健康対策が必要になります。
(2018年3月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)