文部科学省の専門委員会は、ブタなどの動物の体内で人の臓器を作る研究について、人の細胞が混じった動物の胚を動物の子宮に戻し、出産まで認める報告書をまとめました。今秋にも研究が解禁される見通しです。この動物性集合胚を用いた研究は、4年以上前に研究者から申請されていた研究です。しかし、動物性集合胚は、現行の指針では子宮に戻すことを禁じています。わが国においてこうした研究が認められるためには、長期の検討期間を要することは大変残念です。
動物の体内で人の臓器を作る場合、特定の臓器だけできないように遺伝子改変した動物胚に、人のiPS細胞を入れ、子宮に戻して出産させる手法です。報告書では、この研究が移植用臓器の確保や病気のメカニズムの解明、新たな治療法の開発につながる可能性があることを指摘しています。研究が容認されている米英などの状況を踏まえ、人の細胞を入れた動物の胚を子宮に戻し、出産まで認めるのが適当としています。研究の実施にあたっては、国や各大学・研究機関の倫理委員会があらかじめ審査することを求めています。
(2018年3月31日 読売新聞)
(吉村 やすのり)