社会保障費の抑制

わが国の社会保障給付費は、少子高齢化に伴い増加の一途をたどっています。団塊世代が後期高齢者になる2025年にかけ、社会保障費の膨張は避けられません。財務省は財政の健全化に向け、社会保障費の抑制の議論に入ります。

 診療報酬は公的医療保険で受けられる医療サービスの一つ一つに定められた公定価格です。全国一律が原則ですが、法律上は都道府県が独自に設定できることになっています。点数制で表示され、1点は10円で換算されます。しかし、1点10円の報酬を9円にすれば、医療費は10%削減できます。奈良県が先行して導入を議論しています。社会保障費を切り詰めるため、外来患者に受診ごとに一定額を支払ってもらう定額負担制度も見直します。現在は患者が紹介状なしで大病院を受診した場合、5千円以上を医療費に上乗せしますが、この仕組みの対象を大幅に広げることもできます。
新しい薬や医療技術に自動的に保険を適用する仕組みも見直します。市販薬と同じ成分の一部の医薬品を保険適用から外すことも考えます。また訪問介護サービスの適正化も進めます。過剰な利用を抑えるため、要介護度の低い人向けのサービスは保険給付から外すことも想定しています。医療関係者などの反発も予想される中、どこまで改革に踏み込めるかが焦点となります。

(2018年4月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。