尿に関するトラブルは年齢とともに増加します。日本排尿機能学会の調査によれば、60歳以上の78%が頻尿や尿漏れ、尿の勢いの衰え、残尿感など関連の悩みを抱えています。尿漏れや頻尿は、加齢や出産、肥満の影響を受けて尿道を支える筋肉が緩むことにより起こります。
主なトラブルのタイプには、咳やくしゃみをしたはずみで尿が漏れる腹圧性尿失禁、急に尿意を感じて我慢できない切迫性尿失禁、夜に1回以上トイレに起きて、生活に支障が出る夜間頻尿があります。過活動膀胱では、急に尿意をおぼえ、漏れたり頻尿になったりします。女性は男性に比べて尿道が短く、加齢や出産で膀胱や尿道を支える筋肉が伸びて弱くなることで起こりやすくなります。
予防としては、骨盤底筋体操が有効です。仰向けに寝たり椅子に座ったりした状態で、肛門や腟をしめたり緩めたりを繰り返して、膀胱や尿道を支える筋肉を鍛えます。尿意を感じてもすぐにトイレに行かずに我慢する膀胱訓練は、過活動膀胱の症状に効果的です。初めは2~3分我慢し、少しずつ時間を延ばして膀胱に尿をためられるようにします。過活動膀胱や腹圧性尿失禁、前立腺肥大症は、薬や手術による治療も効果があります。水分や塩分のとり過ぎにも注意が必要です。入浴時には湯船につかり汗をかくことでも尿の量や回数を減らすことにつながります。
(2018年5月2日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)