京都大学の研究グループは、鶏の有精卵の中で人の卵巣がんを人工的に作り、抗がん剤の効き目を試せる手法を開発しました。研究では、摘出手術を受けた患者の卵巣がんを細かく砕き、殻に穴を開けた鶏卵に入れました。3、4日で、患者のものと酷似したがんができます。
鶏卵の中のがんは個々の患者のがんをもとに作るため、最適の抗がん剤を選択するのに役立ちます。マウスに患者のがん細胞を移植し、がんを再現するには数週間かかるため、大幅な期間の短縮になります。遺伝子解析や、がんを再現したマウスを使って有効な抗がん剤を探すよりも、期間や費用を大幅に減らすことができます。
(2018年6月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)