要保護児童の委託先

保護が必要な子どもの委託先は、児童養護施設が2016年度末時点で7割強を占め、里親委託率は2割未満に過ぎません。自治体間でも、最多の新潟市は51.1%ですが、最少の堺市は8.3%と差が大きくなっています。里親のリクルートや支援は、都道府県や政令指定都市が設置する児童相談所が担うケースが多くなっています。しかし、わが国においては里親制度が十分に普及しているとはいえない状況にあります。また、受け入れ先の里親と子どもを取り持つ調整機能がまだまだ十分ではありません。
厚生労働省は、虐待などで保護が必要な児童を受け入れる里親の増加に向けた施策を強化します。2019年度にも里親制度の説明会といったリクルート活動や、里親に対する研修を担う専従職員を配置した自治体などへの補助を増やします。里親を増やす理由は、虐待を受けるなどした子どもの養育環境を重視しているためです。2016年度施行の改正児童福祉法において、両親による養育が困難な場合でも、里親や特別養子縁組などによる家庭養育優先の理念を記載しております。児相による児童虐待の対応件数が年々増え続ける中、子どもが健やかに育つことができる委託先の重要性は高まっており、里親の増加と支援の体制を見直し、委託先の拡大を目指しています。

(2018年10月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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