さまざまな事情で親が育てられない子と、子を育てたい夫婦とを結ぶ方策のひとつに特別養子縁組があります。特別養子になれば、普通の養子と違って、子と実親との間に法律上の関係はなくなり、戸籍にも養親の実子として記載されます。新しい親子のつながりを安定したものにすることを目的に、1987年に創設されました。この制度の見直しを進めてきた法制審議会の部会は、 原則として6歳未満となっている子の対象年齢を15歳未満に引き上げるとともに、手続きを改めて、引き受け(養親)側の負担を軽くしています。
6歳未満という要件が、壁になっているとの指摘は以前からありました。しかし、成長した子が養親と良好な関係を築くのは、低年齢の子以上に難しいものがあります。最も大切なのは、子の福祉であることは言うまでもありません。縁組を認めるかどうかを判断する家庭裁判所の責任も、利用増に応じてさらに重くなります。特別養子縁組制度は、子ども、生みの親、育ての親のすべてに幸せをもたらす制度です。
(吉村 やすのり)