ストレスがかかるとお腹が痛くなり、トイレに行きたくなる。過敏性腸症候群は、内視鏡などで調べても腸に炎症や潰瘍といった異常が見られないのに、腹痛を伴う便通異常を起こす慢性の病気です。国内の推定患者数は約1,200万人に達するとされています。症状別に見ると、下痢型が29%、便秘型が24%、両方起こる混合型が47%を占めています。男性は下痢型が、女性は便秘型が多い傾向にあります。ストレスが原因で自律神経が乱れると、便通に異常が起こり、下痢や便秘になります。自律神経の乱れが原因なので、単に薬だけで治る病気というわけではありません。日頃からストレスをためないように注意し、自律神経のバランスを整える生活を心がけることが必要です。
自律神経を安定させるには、規則正しい生活が基本です。毎日同じ時間に起き、同じ時間に食事を取り、同じ時間にベッドに入るようにすることが大切です。定期的に体を動かす習慣を持つことも必要です。体を動かす機会の少ない現代人にとって、運動は一番のストレス解消法です。体温が上がり、汗をかくことで自律神経のバランスが整います。半身浴やサウナで汗をかくのもおすすめです。食事で食物繊維を積極的に取ることも必要です。下痢型の人は、牛乳やアルコール、香辛料といった刺激物は控えたほうが良いとされています。過敏性腸症候群に悩む人は、神経質で完全主義な傾向があります。
(2019年2月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)