体内に遺伝子を入れて病気を治す遺伝子治療薬が、今年5月にも日本で初めて登場します。薬事承認の手続きに基づき、厚生労働省は、足の血管を再生する薬と血液がん治療薬を承認しました。遺伝子治療薬とは、遺伝子を体内に入れることで病気を治す薬です。DNAを無害化したウイルスなどに載せて細胞まで運びます。
遺伝子治療薬の実用化で日本は出遅れています。低分子化合物やiPS細胞などの研究に予算や研究者が集まり、遺伝子治療の研究が停滞したことがあります。従来15年ほどかかっていた新薬販売までの期間が、遺伝子治療薬なら数年に短縮でき、製薬企業のリスクを抑えると言われています。しかし、薬価が高額のため社会保障費の増大につながり、財政を圧迫すると懸念されています。
(2019年2月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)