厚生労働省は、地域ごとの医師の過不足の将来推計を公表しています。都道府県内の複数の市町村からなる二次医療圏(全国に335)でみると、2036年時点で医師が必要数を下回るのは約220地域で、計2万4千人が不足しています。一方、必要数を満たせるのは少なくとも約60の地域で、計4万2千人が過剰になります。全体で見れば1万8千人は余る計算ですが、医師の配置に偏りがあります。医師が少ない地域の患者は、必要な医療を受けにくく、多い地域では過剰受診につながる恐れがあります。
偏在を是正する対策が急務です。対策にあたり厚生労働省は人口あたりの医師数をベースに地域の人口構造なども考慮した新たな指標を作成しています。現時点の都道府県ごとの指標も公表しています。東京、京都など上位16を多数とし、岩手や新潟など下位16を少数と位置づけています。2020年度から少数地域への医師の派遣や少数地域で働く医師の養成など対策を拡充させます。
(2019年2月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)