日本における成功報酬型医薬品の導入

武田薬品工業は、新薬の効き目に応じて患者から支払いを受ける成功報酬型制度に基づく販売方式を採用することを検討しています。医療の現場では、がんや難病の治療の効果が高いバイオ医薬品や遺伝子治療薬といった高額な医薬品が増えてきています。成功報酬型を使えば、患者側が治療の結果に納得感を得やすい利点があります。政府は効き目のない薬に公的な支援をする必要がなく、医療費の伸びを抑える効果が見込めます。
欧米では、原則的に製薬会社が薬価を決め、保険で適用するかは公的医療保険や民間保険の運営者との交渉で決まります。製薬会社が開発や製造コストに合わせて高額に設定した場合、保険の運営者と交渉して成功報酬型で販売する道があります。日本の薬価制度は、政府が薬の公定価格を決め、製薬会社は関与できません。成功報酬型の導入を想定しておらず、高額な新薬も効能が認められれば、保険適用される反面、製薬会社の想定よりも低い価格になる可能性があります。

(2019年4月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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