着床前スクリーニング検査の是非

 日本産科婦人科学会倫理委員会内の着床前スクリーニング検査を考える小委員会が開催された。現在学会は重篤な遺伝子性疾患に限り、委員会での審議の上、着床前診断の実施を認めている。しかしながら、流産回避のため染色体の数的異常などのスクリーニング検査は認めていない。

 去年より妊娠初期の母体の血液で染色体異常を高い精度で判定できる新型出生前遺伝学的検査が実施されている。これらのことより、高齢女性の流産防止のためのスクリーニング検査の意義を検証するための臨床研究を開始すべきかどうかを小委員会で検討することになった。着床前スクリーニング検査については次々と新しい技術が開発されており、その導入の是非論や倫理的諸問題の検討の前に、技術自体の科学的意義についての検証が必要となるであろう。海外においては現在多施設共同研究が実施されているが、わが国における研究データがないため早急な臨床研究の実施が期待される。

(2014年3月21日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

 

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