産業技術総合研究所の分析結果によれば、運動誘発は年間平均155件で、食物アレルギー668件の2割超を占めています。男子が104件と、女子の51件の2倍に達しています。学年別では小学5年から増え始め、中学生が特に多くなっています。給食後の昼休みのサッカーなど運動の最中や、5時間目の体育などに集中しています。食後の運動で発症する病態を、食物依存性運動誘発アナフラキシーと呼びます。
日本小児アレルギー学会が症例の研究などをもとに作成した指針によれば、運動誘発では、じんましんなどの皮膚症状がほぼ全例で、呼吸困難などが7割で、血圧や意識の低下などのショック症状が5割でみられます。原因の食材は小麦が多く、次に甲殻類です。近年は果物も増えています。食後に体を動かす機会の多い学校で、初めて発症する子どもが少なくありません。認知度が低く、診断の遅れから繰り返し発症することもあります。原因食材を食べなければ運動は可能で、食べても直後に運動しなければ問題ありません。
(2019年5月13日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)