政府は、最低賃金を早期に1,000円に引き上げる目標を骨太の方針に明記し、これまで3%にとどまってきた最低賃金上げのペースの加速を促します。最低賃金は、都道府県ごとに物価など経済状況を反映するため、地域によって水準が異なります。最も高い東京都の985円と最も低い鹿児島の761円では、224円の開きが生じています。
海外でも、最低賃金の引き上げを経済政策として活用する動きが広がっています。2010年から2018年の水準の伸び率を比較すると、日本は2割弱にとどまっています。英国の25歳以上の賃金は約3割増、中国は北京市で約2倍、韓国は約8割増です。日本の水準は2018年時点で先進国と比べて低位にとどまっています。1時間あたりの最低賃金を米ドルに換算して比較すると、仏は11.7ドル、英は10.4ドル、ドイツは10.4ドルです。日本は7.7ドルで、米国の7.3ドルよりは高くなっています。
(2019年5月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)