厚生労働省の調査によれば、全国の診療所は、2017年時点で10万1,471カ所あります。過去5年間の増加数は1,319カ所で、その前の5年間の約2倍に増えています。増加が目立つのは人口が多く、多くの患者が見込める都市部です。過去5年間で増えた診療所のうち6割強は、東京などの5大都市部に集中し、医療を受けられる機会に偏りが出てきています。
厚生労働省は、全国を335の医療圏に分け、人口構成や患者の移動などを考慮した人口10万人あたりの外来医師の数を集計しています。その結果、全国平均の105人に対し、東京の都心部は192人、大阪市は129人、福岡市とその周辺は144人にのぼっています。一方、福島県や香川県などでは、50人を切る地域もあります。診療所や医師が偏ると、過疎地などで患者が必要な時必要な医療を受けられなくなる恐れがあります。厚生労働省は偏在の是正に乗り出します。医師が多い地域での開業には在宅医療や休日・夜間の診療などを担うことを求める。
(2019年5月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)