国はがん対策の指針「がん対策推進基本計画」の目標に、がんゲノム医療の推進を掲げ、体制整備を促しています。検査を受けられるのは、国立がん研究センター中央病院など11カ所の中核拠点病院と156カ所の連携病院です。中核拠点では、遺伝子解析の結果を元に、がん治療や遺伝子の研究に詳しい医師らが集まり議論するエキスパートパネルと呼ばれる会議を開き、患者に合った治療法を分析します。11カ所で分析できるのは、年4千~5千件です。さらに多くに対応できるよう、厚生労働省は年内にも、約30カ所の病院を新たに拠点病院に指定します。
検査で見つかった薬による治療は、検査を受けた中核拠点や連携病院が基本となります。薬が承認されておらず、治験や臨床研究に参加する患者も多く、転院が必要になる場合もあります。速やかに治療できるよう、国は保険がきく治療ときかないものを組み合わせた混合診療の規制を緩める仕組みである患者申し出療養を使いやすくします。中核拠点病院で一部の薬を使う場合、患者ごとに必要だった研究計画の申請と専門家による審査を省き、約2週間で使えるようにします。
(2019年5月30日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)