病床数と医療ニーズのズレ

厚生労働省がまとめた2025年の病床数の見通しによれば、重症者向けの急性期病床は、必要量に対して18万床の過剰となっています。しかし、リハビリ用の回復期は18万床不足しています。高齢患者のリハビリニーズが高まるのに病床の転換が進んでいません。高額な急性期が余ったままの状態が続けば、さらに医療費が膨らむ恐れがあります。高度急性期と急性期の病床数は、2025年時点で53.2万床まで減らす必要がありますが、72万床になる見通しです。回復期は37.5万床まで増やす目標ですが、19.2万床までしか増えません。
転換や削減が進まないのは、自治体が運営する公立病院や日本赤十字社などの公的病院が改革を避けていることによります。公立・公的病院で急性期のベッドの過半数を占めています。日本医師会総合政策研究機構によると、公立病院への公費の投入は、年間5,000億円を超えています。国民医療費42兆円のうち、入院医療費は約4割を占め、医療保険財政への影響は大きいものがあります。

(2019年5月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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