ネズミの体内でヒトの膵臓作製

東京大医科学研究所の中内啓光教授らのグループは、ヒトのiPS細胞を使い、ネズミの体内で人間の膵臓を作る研究を始めることにしています。人間の臓器を動物の体内で作る試みは国内発です。これまでは禁止されていましたが、国が指針を3月に改正しました。正常に臓器が形作られることが確認できれば、将来はブタのような大型動物を使い、現在不足している人間の移植用臓器を作れる可能性が出てきます。
計画では、遺伝子を操作して、あらかじめ膵臓をできなくしたラットやマウスの受精卵に、ヒトのiPS細胞を入れて動物性集合胚を作り、メスの子宮に移植します。赤ちゃんの体内の膵臓ができる部位で、ヒトiPS細胞由来の膵臓を育てます。今回は赤ちゃんが生まれるまでは育てず、途中の段階で取り出して膵臓がきちんとできているかや、他の部分に人間の細胞が交じっていないかなどを確かめます。

(2019年6月9日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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