受精卵のゲノム編集再び

ネイチャー誌によると、ロシアの研究者は、HIVのCCR5という遺伝子をターゲットとして、ゲノム編集した受精卵をHIVに感染している母親に移植する研究を計画しているとしています。ゲノム編集による臨床応用をめぐっては、中国の研究者が昨年、今回の計画と同様に、ゲノム編集によってCCR5を働かないようにしたとされる双子の女児が生まれたと発表しました。

 

中国の研究は、男性がHIVに感染している症例で、他にもHIVのリスクを避ける方法があったため、世界の科学者から大いに反発を受けました。しかし今回は女性がHIV感染者であるため、自らの卵子を用いて健常な子どもをつくるには、ゲノム編集技術が必要になってきます。HIVはCCR5遺伝子を足掛かりに感染するとされており、この遺伝子に変異があると感染しにくいことが知られています。もちろん安全性の検証は必須ですが、移植しないことを前提に基礎研究を認めてもよいと思います。

(2019年6月13日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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