企業におけるシニア雇用
生涯現役社会の実現に向け、国は企業に65歳までの雇用確保を義務付けています。しかし、シニア社員が新たな挑戦を避けたり、惰性で仕事をしたりすると、企業にとって負担になります。シニア人材を貴重な人的資源として活用できるかが、企業にとって喫緊の課題であり、経営戦略の重要テーマとなっています。若者には俊敏性や体力などがある一方、シニアは圧倒的な経験と知識があります。企業はシニアを事務的に配置するのではなく、イノベーティブな組織を作るための起爆剤ととらえる必要があります。
国が雇用を義務付ける65歳を超えて、シニア活用を進める企業が増えています。厚生労働省が、2018年6月に集計した高年齢者の雇用状況によれば、31人以上を常時雇用する全国15万6,989社のうち、66歳以上を雇用する企業は27.6%にものぼっています。単に雇用期間を延長するだけではなく、意欲を持って働き続けられるよう人事制度も改めることも必要になります。45歳以上を対象とした研修プログラムも拡充させ、一定のスキル向上を実現している社員を給与面などで優遇する仕組みも取り入れることが大切です。年齢にかかわらず社員に目標を持たせ、成果に応じて処遇することで、結果的に業績を伸ばすというシニア活用術が必要になります。
(Wedge June 2019)
(吉村 やすのり)