経済協力開発機構(OECD)が5年に1回実施している、国際教員指導環境調査(TALIS)の結果が公表されました。調査結果で際立つのは、日本の教員の自己評価の低さです。例えば、生徒に勉強ができると自信を持たせるという質問に対し、非常に良くできているまたはかなりできていると答えた中学教員は24.1%。調査に参加した48カ国・地域の平均の86.3%の3分の1未満でした。批判的思考を促すは24.5%、学習の価値を見い出せるように手助けするは33.9%で、いずれも参加国・地域で最低の数値でした。
自己評価が低い理由の一つに、授業のほかにも部活動指導や学校運営など、多くの業務を担っている点が挙げられています。中学教員の1週間の仕事時間は56.0時間で、平均の38.3時間を大きく上回った一方、授業時間は18.0時間で、平均の20.3時間より短くなっています。一方、知識や専門性を高めるための職能開発に費やした時間は0.6時間で、最も短くなっています。
授業以外で子どもとよく交流するのは日本の教育の強みではありますが、不必要な業務を見直し、働き方改革を進めることが必要です。今後は様々な分野で、人材獲得競争が激しくなります。若く優秀な人達が教員の道を進みたいと思うようにすることが大切です。
(2019年7月7日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)