離乳食を開始した乳児が、鶏卵や牛乳など特定の食物摂取開始を遅らせることで、アレルギー発症予防効果があるというエビデンスはありません。わが国で行われたランダム化比較試験(PETIT研究)では、生後4~5か月のアトピー性皮膚炎乳児を、卵除去群と卵摂取群に割り付けて、生後12か月で鶏卵アレルギーを調査しています。その結果、卵摂取群では卵除去群よりも発症が有意に減少しています。最近のメタ解析でも同様の結果が報告されています。
これを踏まえて日本小児アレルギー学会では、鶏卵アレルギー発症予防のために、アトピー性皮膚炎のある乳児では、皮膚炎を寛解させたうえで、生後6か月から鶏卵の微量摂取を開始することを推奨しています。すなわち、食物アレルギーの原因食物として頻度が高い鶏卵についても、摂取開始を遅らせる必要がないどころか、遅らせないほうが良いと考えられるようになってきています。2019年の授乳・離乳の支援ガイド改定では、最近の知見を反映して、卵黄の開始時期を離乳初期である生後5~6か月頃としています。
(月刊母子保健 第732号 令和元年7月1日発行)
(吉村 やすのり)