産婦人科施設の減少

厚生労働省の調査によれば、全国の産婦人科や産科の病院数は2017年10月時点で1,313施設と、統計を取り始めた1972年以降で最少となりました。減少は27年連続です。少子化が進んだ地方で、産科施設の集約化が進んだことなどが影響しています。近隣の産科が減り、残った産科医の労働環境が過酷になる状況も生じてきています。地方での分娩ができる産科施設の減少は、若者の地方離れに拍車をかけています。
特に分娩を扱う産科医は24時間体制で出産に備えており、他の診療科と比べても長時間労働の傾向があります。産科医の66%で時間外労働が過労死水準の然960時間を超え、27%は年1,920時間以上にのぼっています。分娩数の減少にもかかわらず、出産年齢の上昇でハイリスク妊婦も増え、産科医の負担は増しています。
子どもが減り、産科施設も減少しています。この負の循環に歯止めをかけるには、病院や地域が連携して安心して子どもを産み育てられる環境をつくることが必要になります。若い世代にとって、分娩する医療機関がないような地域に住むことはできません。地方創生の第一歩は、周産期医療の充実であることを忘れてはなりません。

(2019年7月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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