国立大学は全国に86校あります。2019年度の運営費交付金は、2018年度と同額の1兆971億円です。このうち約1,000億円を評価による配分枠としています。700億円は、評価の高い論文をできるだけ少ない交付金で生み出しているかどうかや、教員1人当たりの外部資金獲得実績、若手研究者比率など客観的な指標をもとに相対評価して配分します。残りの295億円は、重点支援評価と呼ぶ枠組みで、大学が各自で目標を決め、自ら下した評価に応じて予算を受け取っています。
国立大学への運営費交付金を巡り、財務省が大きな見直しを求めています。研究の生産性など客観的な指標に基づき、成果に応じて配分する枠を2019年度の700億円から1割以上上積みしたい考えです。一方、大学の自己評価に応じて配る枠は295億円から減らします。前例踏襲の予算配分を改め、より柔軟で成果を追求する運営を促すのが狙いです。安定財源を削られかねない大学側の反発は、根強いものがあります。評価対象経費を過度に大きくすれば、国立大学法人の財政基盤を不安定にすることになります。教育に費用対効果を求めるべきではなく、短期間で成果が出るものでもありません。
(2019年7月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)