ひきこもり状態の高齢化と長期化が問題となってきています。その背景には、不況による労働環境の悪化や、再挑戦しづらい社会環境などがあります。KHJ全国ひきこもり家族会連合会の調査によれば、平均年齢は2004年度の28.1歳から35.2歳(2018年度)に、平均期間は7.5年から12.2年に上昇しています。若い頃からひきこもり状態が続く人たちの層に、中高年になって始まった層が加わっている形です。バブル崩壊後の厳しい就労環境が長く続いたことや、再挑戦が難しい社会環境の影響が大きいとされています。
今の40代は、バブル崩壊後の不況の中で新卒採用が減らされた就職氷河期に直面しています。団塊ジュニアも含み、人数が多くなっています。働き盛りで2008年のリーマン・ショックを経験しました。この後、アルバイトや派遣労働など不安定な労働環境に身を置く人が目立っています。家族会の活動やボランティアなど、就労以外の社会参加のあり方がもっと認められるべきです。人と接し、自己肯定感を取り戻すことが孤立や長期化を防ぐことにつながります。
(2019年8月14日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)