看取りクライシス―Ⅴ

厚生労働省の推計によれば、2025年には介護業界における人材不足は34万人にも達します。政府はこれまで、外国人受け入れ枠組みとして、インドネシアら3カ国との経済連携協定、在留資格の介護、また本国への技術移転が趣旨の技能実習制度を整備してきています。人手不足対応のための一定の専門性、技能を有する外国人の受け入れとして、就労を目的とした在留資格である特定技能制度を開始し、介護分野では、今後5年間で最大6万人のうけいれを見込んでいます。
しかし、事業者は外国人受け入れに不安を抱え、躊躇している様子がうかがえています。介護労働安定センターによる介護事業所などを対象とした介護労働実態調査によれば、外国人雇用に関して意思疎通などに不安な思いを抱く事業者は多くなっています。介護実態調査からは、外国人の受け入れ以前に、日本人の介護職員を教育する土壌が整っていない実態があります。高齢社会の一翼を担ってもらうためには、彼らの能力を存分に発揮できる環境づくりが急がれます。

 

(Wedge September 2019)
(吉村 やすのり)

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