フリーランスの産休

労働基準法などは、出産後8週間を産後休業として、原則女性の就労を禁じています。希望すれば休業できる産前6週間と合わせ、一定の収入がある人には、給料の3分の2が健康保険組合から出産手当金として給付される所得補償もあります。妊娠中の体調不良に伴う休業も医師の診断書があれば、同じく給料の3分の2が健保から給付されます。雇われて働く妊婦のための制度です。しかし、会社に雇われない形で働く美容師やプログラマー、弁護士などフリーランスの女性は、原則として働く妊婦を守る制度の対象外となっています。
フリーランスの女性らで作る女性経営者有志らの調査によれば、出産後も働き続けた20~50歳のフリーランスら353人のうち、労働基準法が定める産後休業(産後約2か月)よりも短い産後1か月以下の休業しか取らずに仕事を再開した人は、44.8%にも達しています。出産後に体調不良が続いたという人は、4人に1人にのぼっています。こうしたフリーランスの女性に、産前・産後休業にあたる期間の社会保険料免除や所得補償、妊婦が安心して体を休めることができるような制度が必要となります。しかし、こうした産休制度は、海外では認められていない国もあります。米国などでは、出産後すぐに働く女性が多くなっています。こうした産休制度にも多様化が求められます。

(2019年9月3日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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