心臓リハビリテーションの意義

心筋梗塞など心臓の病気にかかった人が、治療後に再発するケースは珍しくありません。加齢とともに重い心不全へと進行することもあります。そうしたリスクを低下させるケアとして注目されているのが、心臓リハビリテーションです。心臓リハビリテーションの主な対象となるのは、急性心筋梗塞、心臓手術後、慢性心不全の3つです。他に狭心症や大動脈解離、解離性大動脈瘤など大血管疾患など合計7つが、公的医療保険の対象になっています。退院後でもリハビリ開始後150日までは公的保険が利用できます。
心臓手術後のリハビリテーションは古くからありましたが、近年、運動療法が、様々な経路を通じて心疾患の再発防止に有効であることがはっきりしてきました。まず挙げられるのが、動脈硬化を遅らせる効果です。悪玉コレステロールといわれるLDLコレステロールが、血管壁にたまることで動脈硬化が進行します。急性冠症候群で入院してカテーテル治療などを施した患者に、心臓リハビリテーションを実施し、身体活動の量と動脈硬化の程度を表す冠動脈のプラーク量を比較すると、1日の平均歩数が7,000歩を超えるなど身体活動量の多い患者ほど、プラーク量が顕著に減っている傾向が確認されています。

(2019年9月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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