世界保健機関(WHO)は、今年5月にゲーム障害を精神疾患に分類しています。WHOの定義では、(1)ゲームの時間や頻度などを自分で制御できない、(2)人生における他の関心事や日々の活動より、ゲームを優先する、(3)学校や職場、家庭などにおける日常生活に支障をきたしてもゲームを続けるという状態が12カ月以上続くと、ゲーム障害に該当します。症状が重い場合は、もっと短期間でも診断されます。厚生労働省研究班の調査によれば、中高生の7人に1人、推計約93万人に、ゲーム障害を含むネット依存症の可能性があるとされています。
ゲーム障害患者が抱える問題で多いのは、朝起きられないが75.8%、昼夜逆転が60.0%、睡眠不足が31.7%などの睡眠関連です。ゲームをすると興奮し、スマホやパソコンの画面の光を長時間浴びると眠気をもよおすホルモンの分泌量が減り、なかなか眠くならなくなってしまいます。カウンセリングなどを通じて自分の状況を認識し、ゲーム以外に関心の持てるものを見つけるなどして学校や職場、社会で生活できるようにしていくことが大切です。また、ゲーム障害の患者は、注意欠如・多動性障害(ADHD)など発達障害を合併していることもあります。
(2019年9月6日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)