保育士の平均賃金は、2018年の厚生労働省の調査によれば、月額23万2,600円です。全体平均の30万6,200円を大きく下回っています。転職支援のネクストビートによれば、保育士の4人に3人は転職を経験しています。3回以上の人も3割近くみられます。待遇への不満だけが転職の理由ではありません。定着度合いの低さが目立っています。
内閣府が4月26日にまとめた調査では、2016~17年度に助成金の交付を決めた企業主導型保育所のうち、約1割の252施設がすでに撤退したことが分かっています。悪質なケースでは、助成金を不正に受け取ったまま施設を開園しない事例まであります。政府は2020年度末までに、4月時点で1万6,772人いる待機児童をゼロにする目標を掲げています。達成には約46万人いる保育人材をもっと増やす必要があります。しかし、東京都の調査では、保育士の22.4%が今後は保育士を辞めるつもりだと回答しています。
(2019年9月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)