朝日新聞の調査によれば、がん患者の治療費や療養費のうち、公的医療保険の対象にならない分について独自に助成する自治体が、全国26府県に広がっています。がんは、医療技術の進歩により長くつきあう病になり、治療と生活の両立支援が重要になっています。最も多かったのは、将来の妊娠に備え、治療前に卵子や卵巣組織の一部、精子を採り、凍結しておく妊孕性温存治療への助成です。埼玉など12府県に及んでいます。
がん治療を若い世代が受けると、女性は卵巣・子宮、男性は精巣などの生殖機能が低下します。治療後に妊娠したいという希望をかなえる温存治療は、近年がん生殖医療として広がり始めています。しかし、保険適用外のため、女性20万~50万円、男性が4万~6万円程度かかる費用が課題となっています。所得や年齢による制限もありますが、12府県は女性に10万~40万円、男性は2万~5万円(手術を伴う場合は25万円)を上限に助成しています。
(2019年9月13日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)