風疹患者が昨夏から増えています。昨年の患者数は2,946人と前年の30倍以上で、今年もすでに2千人を超えて9月8日までで2,176人に上っています。患者の中心は40~50代の男性です。現在は定期接種として男女とも1歳と小学校入学前の2度、各医療機関で個別に接種を受けていますが、40歳以上の男性は、定期接種を受ける機会が一度もなかったからです。厚生労働省は、4月から3年間、40~57歳の男性が無料で抗体検査を受け、抗体がなければワクチンを接種できるようにしています。
風疹は、くしゃみや咳などの飛沫でうつります。妊婦が感染すると、赤ちゃんに心臓の病気や難聴、目の障害を起こす先天性風疹症候群(CRS)になるおそれがあります。2012~2013年の流行時には、CRSの赤ちゃんが45人生まれ、うち11人が亡くなりました。今回の流行でも3人報告されています。風疹は症状が出る1週間ほど前から、周りの人にうつす可能性があります。症状がでないこともあり、知らない間に感染を広げてしまうおそれがあります。一人ひとりが自分のこととして考えて抗体検査とワクチン接種を受けることが大切です。
(2019年9月18日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)