全国の大半の地域では、高校生の就職活動は原則、学校を通じて行い、最初の応募は1人1社しかできないという独特のルールがあります。2015年卒の3年以内離職率は、高卒者が39%で、大卒者の32%を上回っています。1年以内離職率は、高卒者で18%に達しています。現状では、高校生が自分の仕事内容や将来のキャリアについて、よく分からないまま就職することも珍しくありません。高卒生と企業のミスマッチが、早期離職の一因となっている可能性があります。
人手不足で高卒採用を増やしたい企業からは、見直しを求める声が上がっています。厚生労働省の調査では、来春卒の高校生の求職者数は約17万6,000人で、求人数は約44万3,000人です。有効求人倍率は2.52倍と高いです。企業側からは、国に複数企業への併願を可能にしてほしいという要望も出ています。文部科学省と厚生労働省からは、就職支援会社などを通して応募する形なら、現状の仕組みのままでも複数企業への応募は可能であるとの認識が示されています。年内にも方向性を示すとみられ、高校生の進路選択の幅が広がる可能性があります。
(2019年9月19日 読売新聞)
(吉村 やすのり)