厚生労働省は、市町村などが運営する公立病院と日本赤十字社などが運営する公的病院の25%超にあたる全国424の病院について再編統合について特に議論が必要とする分析をまとめ、病院名を公表しました。診療実績が少なく、非効率な医療を招いて、医療財政を圧迫しているとも考えられる病院名も公表しています。全国1,652の公立・公的病院(2017年度時点)のうち、人口100万人以上の区域に位置する病院などを除いた1,455病院の診療実績をもとに分析しました。がんや救急など高度な医療の診療実績が少ない病院や、近隣に機能を代替できる民間病院がある病院について、再編統合について特に議論が必要と位置づけています。424病院の内訳は公立が257、公的が167でした。
今後、厚生労働省は地域の医療計画をつくる各都道府県に対し、地域内の他の病院などと協議しながら2020年9月末までに対応方針を決めるよう求めることになります。他の病院への統合や病床数の削減、診療機能の縮小などを2025年までに終えるよう要請します。厚生労働省は病床の削減が進まない公立・公的病院を名指しする異例の強硬策に出ましたが、対応を決めるのはあくまで地元です。
再編の壁になるのは、各自治体の首長の意向です。とりわけ公立病院の再編は地域住民からの反発が避けられません。日本医師会総合政策研究機構によると、2017年度に公立病院に投入された税金は約8千億円にのぼっています。僻地医療や災害医療など公立病院でしか担えない役割に重点化されていれば、税金の繰り入れを続ける意味はあります。しかし、今回の厚生労働省の分析結果では、公立の3割超にあたる257病院で民間病院に代替できるとの分析結果となっています。
(2019年9月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)