上場企業の役員の顔ぶれが多彩になってきています。取締役に占める社外取締役の比率は今年、初めて3割を突破しました。監査役や執行役を含む役員では女性が1,000人を上回り、外国人役員がいる企業数も100社を超え過去最高となりました。異なった経験や知見を経営に生かす体制が広がってきています。しかし、社外取締役の割合が8割を超える米国などと比べると、日本の水準はまだ低率です。女性役員も増えてきており、役員全体に占める割合も6%に達しています。
社外取締役とは、事業戦略やお金の使い方といった企業の意思決定を担う取締役のうち、その企業の出身ではない人です。社内の利害関係に縛られず、外部の立場で経営に目を光らせる監督の役割が期待されています。取締役会では一般株主の意見を反映する役割も担っています。ほかの企業で経験を積んだ経営者や大学教授、弁護士らが就くことが多くなっています。社外取締役の重要性が高まる一方で人材不足が課題になっています。東証1部で社外役員(監査役含む)を兼任している人は、7月時点で1,209人です。兼任が多くなると1社に割く時間が減り、チェック機能が落ちかねません。私も上場企業の2社の社外取締役を務めていますが、ともにその割合は4割を超えています。取締役会にはできる限り出席し、意見を述べるようにしています。
(2019年10月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)