受動喫煙対策の徹底は、世界的な潮流でもあります。世界保健機関(WHO)の2017年の報告によれば、世界186か国のうち、英国やロシアなど55か国は、飲食店などを含めて屋内禁煙を法的に義務づけています。日本では、喫煙できる場所を設ける分煙が進んでいましたが、健康増進法改正の一部施行で7月から学校や病院、官公庁などが、原則敷地内禁煙となりました。来年4月の全面適用で、飲食店や会社なども、屋内では原則禁煙となります。
たばこの煙には、ニコチンやタールなどの有害成分が含まれ、国内では年間約15万人が、たばこを原因とする肺がんなどで亡くなっています。このうち1割ほどが、受動喫煙によるものとされています。
厚生労働省が2017年11月に実施した国民健康・栄養調査によれば、たばこを吸わない人に1か月以内に受動喫煙を経験した場所を挙げてもらったところ、飲食店が42.4%で最も多く、パチンコ店などの遊技場は37.3%、路上31.7%、職場30.1%でした。このほか、公共交通機関は12.9%、行政機関が8.1%、家庭、医療機関が7.4%、学校は3.4%でした。一方、20歳以上国民の喫煙者の割合は17.7%で、減少傾向が続いています。2007年の24.1%と比較しても10年間で6.4ポイント下がっています。男性は29.4%、女性は7.2%でした。
(2019年10月5日 読売新聞)
(吉村 やすのり)