2025年には、団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者になり、人口の2割弱を占めるようになります。政府は70歳までの就業機会を確保したり、年金を受け取り始める年齢を70歳超まで選べるようにしたりするなど、高齢者の就労を後押しして社会保障の支え手を増やす政策を進める構えです。しかし、今後の超高齢化を見通すと、社会保障の負担増や給付の見直しが避けて通れない課題となってきます。
この年齢層の医療費は1人あたり平均で年92万円程度と、現役世代の約5倍かかっています。年金や介護を含む社会保障給付費は、政府の推計では2025年度に140兆円に達します。2018年度に比べて16%も増え、放置すれば現役世代の負担が一段と重くなってしまいます。団塊の世代が75歳に到達し始める2022年度にも医療・年金・介護を合わせた社会保険料が年収の30%に達すると試算されています。75歳以上の医療費窓口負担を原則1割から同2割に上げるなどといった負担と給付の見直しが図られています。
(2019年10月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)