日本の製造業は、国内の人件費の上昇や急速な円高の影響を受け、1990年代以降は生産拠点の海外移転を積極的に進めてきました。一方、国内では工場を閉鎖する動きが相次ぎ、雇用にも響く空洞化が加速しています。内閣府の調査によれば、海外で現地生産する製造業の割合は68.3%に上っています。
大規模な生産ラインが必要となる自動車などの業種では、依然として海外生産が重視されます。雇用確保の観点から、各国政府から税制面などで優遇措置を受けている事情もあります。自動車メーカーの海外生産比率は、1995年の約35%から、2018年に約70%になっています。人口が減少する国内では、今後消費の大きな拡大は見込めないため、現地生産を増やす大きな流れは変わらないと思われます。
(2019年11月28日 読売新聞)
(吉村 やすのり)