10代女性の妊娠数が減少している一方で、出産に至る人の割合が増加しています。国の統計によれば、10代の人工妊娠中絶数は2000年から2002年頃がピークで、年間約45,000件ありましたが、その後減少し続けて2017年は14,128件となっています。一方、出生数に関しては、2001~2002年は年間約20,000人で妊娠した人の約3割でしたが、2017年は9,898人、全体の約4割が出産しています。つまり、10代で妊娠した女性のうち、中絶をせずに出産まで至る人たちが増えています。
15~19歳の人工妊娠中絶と出産では、1975年までは出産が上回っていましたが、以降は中絶が大きく上回り、2000年をピークとして減少しています。人工妊娠中絶と出産を合わせた女子人口千対8.2(2017年)は、1960~1975年以来の低値となっています。高校生女子の性交経験率は、2005年の約3割をピークとして減少し、2017年っでは2割を下回り、1990年代とほぼ同じ水準まで低下しています。人工妊娠中絶率は、クラミジアなどの性行為感染症罹患率ともパラレルに変動しており、10代において、性行為が行われなくなっている可能性と、避妊に失敗した時の緊急避妊ピルが認知されてきたことによるとも考えられます。
(月刊 母子保健 2019年12月号)
(吉村 やすのり)