外科手術の分野に自動化の波が押し寄せています。手術支援ロボの市場を半ば独占してきたダビンチの特許切れを背景に競争が熱を帯びています。経験豊富な医師の判断や器具の操作を人工知能(AI)とロボットで再現し、手術の安全性を高めるのが狙いです。オリンパスや川崎重工業が開発を加速し、ソニーも商機をうかがっています。海外でも米アルファベットや新興勢が製品化を急いでいます。
現時点で市場を半ば独占するのが、米インテュイティブサージカルのダビンチです。1999年に登場し、累計出荷台数は約5,400台に達しています。2018年には、世界で約100万件のダビンチ手術が行われ、日本でも多くのがんの手術に保険が適用されています。一方で、価格は1億5,000万~3億円と高く、消耗品を含む運用費は年間数千万円かかります。ダビンチの武器は、操作性に加え、遠隔操作するロボットアームの設計や動きに関する特許群でした。その主要特許が2019年に入って切れ始めたため、多くの企業にチャンスが生じています。
(2019年12月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)