最高裁の司法研修所が、離婚訴訟などで使われる養育費の新しい算定基準を公表しています。養育費は、離婚や別居に伴い、子を育てる親に他方の親が支払います。日本では母親が子を引き取り、父親が支払う例が多くなっています。算定方法を定めた法令はなく、夫婦の話し合いで合意できなければ、家裁の調停や審判で決めることになります。実際には支払いを取り決めなかったり、約束通りに支払わなかったりする例も多くなっています。国の調査では、2016年時点で、母子家庭の7割超が養育費を受け取っていないと回答しています。
最高裁は、現在の経済情勢を反映させる必要があると判断しています。司法研修所が指名した実務経験の豊富な家裁の裁判官4人が、昨年7月から検討し、新基準を示した報告書をまとめています。改定により、旧基準で合意した夫婦が新基準の適用を求める声も予想されます。再度の調停申し立てもできますが、増額されるかどうかは個別の判断となります。
(2019年12月25日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)