介護保険制度の改革が急がれる背景には、介護給付費の膨張があります。家族の負担を減らす介護の社会化を掲げ、制度が始まったのは2000年4月です。それから約20年を経て、介護サービス利用者数は、当初の3倍超となる487万人にまで増大し、介護にかかる費用も11.7兆円と3倍以上に膨らんでいます。医療や年金と比べても伸び率が大きく、2040年度には25.8兆円に拡大するとの政府試算もあります。
費用の増大に伴って保険料も上昇しています。65歳以上の高齢者の保険料は月額5,869円と当初の約2倍になっています。40歳以上の現役世代の保険料負担も増えています。国は2017年度から、収入の高い会社員らにより多くの介護保険料を求める総報酬を導入しています。所得の多い現役世代ほど負担が重くなっています。
(2020年1月3日 読売新聞)
(吉村 やすのり)