何歳まで働くつもりか
日本経済新聞社の世論調査によれば、70歳以上まで働くつもりだと答えた人が、60歳代の54%にのぼっています。2018年秋に実施した前回の調査に比べて9ポイント増えています。人生100年時代を迎え、高齢者を中心に就労意識が大きく変わってきています。
定年が現実味を帯びる層ほど、高齢まで働く意向がありました。70歳以上まで働くつもりは、70歳代では45%、60歳代は54%に達しています。30~50歳代は3割前後で、18~29歳は18%と、若年層ほど低くなっています。70歳代では、75歳以上との回答が34%にのぼっています。70歳以上と回答した人を男女別でみると、女性の28%に対し、男性は45%と大幅に上回っています。職業別でみると、正規の職員・従業員は、28%で全体の平均の37%を下回っています。高いのは自営業者の72%で、パート、アルバイト、派遣・契約社員も46%でした。年収別では300万円未満が42%と高く、800万円以上は32%でした。
老後に不安を感じていると答えた人は、76%でした。不安の理由は、健康の71%で、生活資金など経済面が68%と続いています。低年収の人や待遇が不安定な人を中心に、老後の生活のために働き続けたいと望む人が増えています。就労意欲の高さに比べると、雇用環境の整備は遅れています。内閣府の高齢社会白書によれば、2018年の世代別就業率は60~64歳が69%、65~69歳が47%でした。これが70~74歳では30%、75歳以上では10%と急激に下がっています。人生100年時代への対応が急がれます。
(2020年1月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)