新型出生前検査1年―上

母体血を用いた新型出生前検査が始まり、1年が経過した。これまで1年間で7,800人が検査を受けており、NIPコンソシアムの半年後の調査では、検査後に羊水検査で病気が確定した54人中53人が中絶していた。この検査を受けようとする妊婦のほとんどは、遺伝カウンセリングを受ける前から胎児に染色体異常があれば中絶することを決めていることが多い。医療機関によってはカウンセリングの時間も20分前後と短く、説明も事務的な施設が多いとも聞く。クライエントもそれを気に留めない女性が多いことも事実である。

高い中絶率の背景には、障害者を取り巻く状況もある。欧米に比べて障害者に対する社会の対応が十分ではなく、クライエントが不安なく、障害児を産み育てられる社会でないことが、最大の要因である。わが国の現状を考えれば、検査を受けたクライエントが中絶を選択せざるを得ない状況も理解できる。

(2014年5月1日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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