1月17日、小泉進次郎環境相の第1子が誕生しました。その2日前に、子の誕生後3カ月で2週間分の育児休暇をとる考えを表明しました。世界を見れば、国のトップや閣僚の産休や育休は珍しい出来事ではありません。2000年には英国のブレア首相が約2週間の事実上の育休を取り、ニュージーランドでは、2018年に首相が出産し、6週間の産休を取っています。2019年8月、フィンランドの閣僚が第2子の出産で、1年の予定で産休、育休に入りました。
わが国において、出産年齢が上昇傾向にあるとはいえ、入閣適齢期にある閣僚の産休、育休がほとんど話題にならなかったのは当然と言えます。妊娠出産年齢にあるカップルが、閣僚に抜擢されることはほとんどありませんでした。2019年の推定出生数は、予想より2年早く86万4千人までに減少しています。まさに国難ともいえる状況です。合計特殊出生率はここ3年間低下し、政府が掲げる希望出生率1.8は、とてつもない遠い道のりです。閣僚としての小泉氏の育休取得も、少子化対策としての意味合いが強いと思われます。
核家族化が進み、都会においては身近に頼れる親族がいない人が多く、若いカップルにとって現在の子育て環境は厳しいものがあります。出産後の母親の死亡原因で最も多いのは、産後うつ病などによる自殺とされています。産後は、最も支援が必要な時期です。育休をきっかけに父親が育児や家事をすることが、子どもを産み育てやすい環境につながることが期待されます。
一方で、閣僚や議員の産休、育休には、職務放棄などと批判も多く出ています。しかし、社会と同様、議会の担い手も多様化する必要があります。議員は長時間奉仕できるかではなく、議会での質問内容や行政監視の積極度で評価されるべきです。社会の変化を捉え、大胆な政策を打つためには政治の多様化が鍵となります。副大臣や政務官も積極的に育休を取るべきです。育休期間だけではなく、当たり前に子育てをする政治家の姿は、国民に対して少子化問題への覚悟を示すメッセージにつながります。大臣が育休中には、副大臣や政務官が大臣の任務を分担しあえば済むことです。何のために副大臣や政務官がいるのかを考えるべきです。
(吉村 やすのり)