国立がん研究センターによると、たばこを吸う人は肺がんをはじめがんのリスクが吸わない人の5割も増えます。たばこの副流煙に約70種類の発がん性物質などが含まれ、吸わない人でも煙にさらされると健康に悪影響を及ぼします。受動喫煙防止を目指し、厚生労働省は健康増進法を改正しました。2019年7月に学校や病院、児童福祉施設などの敷地内が原則禁煙に、他の施設も2020年4月から原則屋内禁煙となります。しかし、自宅での喫煙は法律では解決できない問題です。
たばこに含まれるニコチンは薬物と同じくらいの依存性があります。やめられないのはニコチン依存症の可能性があるからです。喫煙を巡り、たばこを吸う家族や同僚と対立しがちですが、逆に禁煙するよう支援して受動喫煙の被害防止につなげる取り組みが注目されています。非喫煙者が喫煙者と対立せず、禁煙を応援してお互いの心を結ぶという期待を込めて「結心」という連絡会も立ち上がっています。同会では、個々の取り組みについて情報発信し、喫煙者が禁煙に向けて踏み出せるよう応援しています。
(2020年1月30日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)