ひきこもりの自立支援をうたう施設のトラブルが各地で起きています。ひきこもりをもつ高齢者の親の藁にもすがる思いにつけこみ、ひきこもりを拉致・軟禁、法外な金額で契約を結ばせる悪徳引き出し業者が問題になってきています。引き出し業者には、具体的な設置・運営基準などの法規制はなく、厚生労働省などもホームページで注意を呼びかけるにとどまっており、施設数などの実態は不明です。
支援内容も高額な費用に見合っているとはいいがたく、終日、何もせず過ごした、自分でアルバイトを探してこいと言われたなどと訴える被害者もいます。野放し状態の中、引き出し業者の被害は、時にひきこもり状態ではない人にも及んでいます。人の弱みに付け込んで、法外なお金を請求するような悪徳業者はもってのほかです。市町村や地域の支援団体、ボランティア、専門家が協力する体制をつくり、そうした業者は入り込ませないことが必要です。消費生活センターとも連携して、さまざまな相談に応じる体制もつくりも大切です。
(2020年1月25日 週刊東洋経済)
(吉村 やすのり)